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にしても、と笑顔を此方へ向ける雅俊さん。ハンサム度が高いからドキッとする。
「あー…ほんと可愛いなー。気をつけなさい。ここは本当に危険だ。」
頬を撫でながら可愛がってきたかと思えば、急に真剣な顔で忠告してくる。
「分かっています。もしもの時は頼るのでそんなに心配しないでください。」
僕は雅俊さんの心配にはにかんで、雅俊さんは僕の返答に安心したように、にっこり笑いあって
「いやぁ本当に久しぶりだー。可愛い。」
「1週間前に会いましたよね。」
悠さんに暖かい目で見守られながらの談笑。
そうしてくだらない話をしていると、ふいにノックの音がした。
悠さんがサッと動き、雅俊さんが「入りなさい。」と厳かに告げる。
スっと開いた扉に驚きながら入ってきたのは制服に着られてる感じがかわいい男子だった。
彼も編入生のようだ。
あの壁をどう越えて来たのだろうか。僕みたいにメシアな友人でもいるのだろうか。
彼は雅俊さんや悠さんを見てたじろいた後、僕を見て安心したように肩の力を抜いた。
「は、初めまして。斎藤翔(サイトウショウ)です。これからよろしくお願いします。」
金髪で年齢の掴めない、見た目はハンサムな雅俊さんと、負けず劣らずカッコイイ悠さん、そして黒の前髪と眼鏡で構成された顔面の僕。
安心するのは当然かもな。失礼な気もするけど。
というか挨拶が雇用された新社員のようだ。新社員の挨拶とか知らないけどそう感じた。
微笑ましくて、自然と笑顔になる。
斎藤君は癒し確定だなとか考えていたら挨拶は終わったようで、お暇することに。
二人揃って理事長室から出る。
またもや悠さんが扉を音もなく閉じた。
(もはや自動ドアではないか)
先程からくだらないことばかり考えている。
閉じた扉を前に動かない僕に斎藤君が心配したのか話しかけてきた。
「あの…どしたの」
「いえ、刻竝さんは完璧にドアマンだなと。」
「確かに。てかあの人刻竝って言うんだな。」
話が途切れる。僕には話題提供能力などない。沈黙が耐えられないものでもなかった為僕は副会長との思い出を振り返ることにした。
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