編入生は二人

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出会いを思い起こした時、木の陰に誰かがいたことを思い出した。 いったい誰が何をしていたのだろう。 「なぁ、お前名前何て言うんだ?」 どうやら斎藤君は沈黙に耐えられないらしく僕に自己紹介を求めてきた。 「申し遅れました。僕は雪崎 薫です。」 突然だった為素っ気ない言い方になる。 「おう。雪崎か。なぁ、これから何すんだ?」 どうやら斎藤君は気にしてないようだ。『何するんだ?』とは編入生としてだろう。 そういえば何するか、基何処へ行くかなど考えていなかった。 「多分ですけど、職員室に行くんじゃないですか?」 「あー…それもそうか。……職員室って何処だろうな。」 いや知るかよ。 やることないし冒険に出るしかない。 「職員室探しましょうか。探索も兼ねて。」 僕の提案に斎藤君は二つ返事で賛成した。 鞄からスケッチブックとシャーペンを出す。 「何に使うんだ?それ。」 「地図でも描こうかと思いまして…。」 真新しいスケッチブックを捲り四角形と、その中に"理事長室"と書き込む。 「さ、行きましょう。」とたもして荷物を持てば、幾つか取られた。 (こいつ…それなりにモテる人だ。絶対。) 「何でこんなに荷物あんの?」 「いやぁ…突如入り用になったものと、友人からのお土産(?)です。」 そうなのだ。必需品は数日前に配送済みで、必然的に来る際の手荷物は少なくなる。 しかし、僕の場合は前日に色々買ってしまい、その上友人に何か沢山持たされた。 結構大所帯である。 雅俊さん達は何も言わなかったが、荷物多いな〜、ぐらい思ってたに違いない。 「なるほどな。しっかし広いよなここ。」 心底呆れた様に言う。同意である。 「ですね。恐らく理事長室のある階には後生徒会や風紀委員の部屋しかないと思います。形的に塔が別れてますけど。なので降りましょう。」 これも友人情報である。 本当かどうかは知らないけれど、どっちにしろこの階に職員室はないだろう。最上階とか一番動き難いだろうし。 斎藤君の了承を得て階段を降りる。 何故階段までこんなに綺麗なのだろう。学校の様相ではない。これはホテルである。 職員室は案外すぐに見つかった。 三階に降りて、教室は無視して歩いていたら保健室を見つけ、隣が職員室だった。この配置は決められているのだろうか。
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