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俺は耳栓着用済。ホストが入室。
(あー…雪埼達来るんだよな。どうしよう…大丈夫。俺が雪埼を総受けになんかさせない。)
悶々としてたら黄色い挨拶(歓声)はおわってた。
「編入生いっから紹介すんぞー。」
途端にざわざわする室内。はー楽しい。
「翔、と雪埼、入れ。」
おーっともう名前呼びかよ。ホストは基本馬鹿だな。平凡君反感買うぞ。
思った通り、「何あいつー」「平々凡々のくせに」等の平凡君への不平不満の声が…あーあ。
他人事なので、悪いと思っても内心にやにやしながら見てたら、雪埼がホストの脇腹にぼすっと柔いパンチを繰り出した。
一瞬静まる教室。皆反応に困って見ていることしか出来ずにいる。雪埼はスッとホストの耳に顔を寄せ、何かを囁いた。ホストは神妙な顔で聞いている。
「…ん。こいつを名前呼びしたことに大した意味はねーぞ。苗字を忘れたんだ。お前らだって佐藤が斎藤か分からな…」
「斎藤です。斎藤 翔」
「…あ、僕は雪埼 薫です。」
2人してホストの話をぶった切った。
一応平凡君への不満は消えた。話をぶった切ったのにもノータッチ。
しかし腹パンには許せないものがある様子。自己紹介の後、席に向かう雪埼の足下には幾つもの足が。気づいているのかいないのかそのまま机の間を歩いて来る。
来る?待って、雪埼の席って、俺の隣?
顔をあげた雪埼が、俺に気づいて、「あ」と口を開く。そして足下が疎かになる。最後の1人の足につまづき、バランスを崩す。
バランスを崩した先、俺の右斜め前の席には、気持ち良さそうに寝ている不良君が!
雪埼の着地用に伸ばした手が机につくが、勢いは殺せず、雪埼の唇が不良君の額に着地。
すぐに離れる雪埼。目覚める不良。
「あ、すいません。足大丈夫ですか?」
まさかのつまづいた原因である足の心配。何となく何も言えない足の持ち主。
それを見てぱっと不良に体を向けた雪埼は「睡眠を妨害してしまい申し訳ないです。」と謝罪しながらグリグリと不良君の額を擦る。
文句を言おうとしていたであろう不良も勢いを失っている。雪埼強い。
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