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「…ちっ、良いから触んな。」
摩擦が痛かったのか雪埼の手を払う不良君に、あわあわする雪埼。
「…雪埼、もう座っちゃいなよ。」
つい声をかけると「はい。」と返事して俺の隣、つまりは不良君の後ろの席に座る。
色々で鼻を挫かれてる気がする。
あ、そういや平凡君はと探すと雪埼の隣の席、一番後ろの席で、窓側から俺、雪埼、平凡君と一列に並んだわけだ。
(この位置だと平凡君が見えずらいけど、雪埼隣だから良いや。)と自己完結。
そんな俺を雪埼が不思議そうに見ていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ぶつかってしまった方が振り返る度に、僕は申し訳ないと頭を下げておく。1回しか振り返らなかったけど。
良いとは言ってくれたが、もし自分だったら唾液をつけてきた相手を殴る気がする。寝てた所に他人の唾液。極めて不快。
つまり、僕の前の席の方は強面だが、とても良い人ということになる。
僕って運が良いんだな!
気になって仕方ないので話しかけたいのだが、強面さんは寝ていた。それはもうぐっすりと。
お昼には流石に起きるだろうと、授業に集中。できない…隣から凄い視線を感じる。
そういえばさっきも見てたな。
左隣に目を向けるが、隣人は僕の方をみてはいなかった。気のせいではない。多分絶対。ジャストタイミングで目をそらしたんだ多分。
何となく、そのまま隣人を見つめる。彼は、確かさっき職員室付近にいた人だ。
目は前髪に隠れて見えないけれど鼻が高く、顎筋の綺麗なことから美形だと分かる。下半分だけ整ってるとかじゃない限りは。
肌は青白い。指綺麗。細身。やや猫背…。見た目はそれこそ本当に猫みたいでとても好き。仲良くなれる気がする。
彼はふっと此方を見ると、凄い速さで前に向き直った。そしてそれ以降此方を見なかった。
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