編入生は二人

16/26
前へ
/32ページ
次へ
これ普通の学校だったら近所迷惑もいいとこだよ。耳がしぬ。 元々耳は良い方だから余計に辛い。 何が原因だろうと食堂を見渡すと副会長さんと知らない人達がいた。 …どうやら副会長さんは皆のアイドルだったらしく、黄色い声はファンの方々のもののようだ。 (ほーん、ふーん、へーナルホド) パフェに目を戻そうとした時、副会長と目が合った。それはもうバッチリと。 (『人気アイドルと秘密の恋!?』) よくある乙女ゲームのコンセプトが頭を流れた。茶の間で流れると何となく気まずいよね。 僕の頭が少女漫画してる最中にも副会長さんはまっすぐ此方に歩いてくる。 副会長さんは背筋ピンッてしてるから歩いてるだけでも素敵。羨ましい。 「今朝ぶりですね、薫さん。」 「そうですね。副会長さん。」 きゃっきゃうふふ…である。 凄い…視線がいたい。 抜け駆け禁止のルールとかあるんだろうな。僕ファンクラブ入ってないから関係ないよね。 「雪埼、その人とどういう関係?」 おやおや、気になるのかい斎藤君。 「…ベストフレンドです。」 一俟が座ったままずっこけるのが見えた。 今朝からの友達第一号だぞ。嘘言ってない。ほら、副会長さんも否定しないだろ。 複雑そうな顔はしてるけど 実際、『今朝会った仲です』とか冷たいこと言わないだろうし。 「幸彦、そいつか?お前が気に入ったとかで自慢してきた奴は」 な、何だって!?思わず副会長さんを見る。 「おい、お前…」 「副会長さん!これからも仲良くしましょう!」 誰か何か言ってるけど、それより友人優先。 「おい!俺が話しているんだ。此方を向け!」 すいません。少ししか僕は悪くない。首がクッてなるから引っ張らないで。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加