編入生は二人

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「あ、ウェイターさん、スプーンください。」 「かしこまりました。少々お待ちください。」 (やはり、働くお兄さんは格好いいな。) 大人しく待ってると、会話が聞こえてくる。 「へぇ…私の方が彼と仲が良いですよ?」 「俺はクラスメイトですから。」 一俟は副会長さんと知り合いだったらしい。人の会話って途中から聞くと、とことん意味不明で、会長さんが蔑ろにされてるのしか分からなかった。 会長さん可哀想。 勝手に同情してたらウェイターさんが戻ってきた。 「ありがとうございます。」 僕の言葉に優しい笑みを浮かべたウェイターさんと別れ、さっさと戻ることにした。 「副会長さん、スプーンもらってきました。」 「あ、ありがとうございます。」 副会長さんは何故か少しシュンとしている。一俟に何かされたのだろうか。そんなに興味ないから良いけど。 ちょっと立ち歩いたことで食欲が湧いたのか割といける気がしてきた。アイス減ったところを押し付ける訳にもいかないし。さっさと食べてしまおうとスプーンを入れた。 「副会長さん。好きな果物なんですか?」 「常人には難しい個人情報の収集っっっ……さーせん。」 一俟はボディランゲージが凄いね。これはただのコミニュケーションであって情報収集じゃないんだなぁ。 「果物単体だとパイナップルですね。」 「あぁ。わかります。瑞々しいですもんね。」 デザートになると変わるのか。よくあることだよなー。当たり障りのない話をしながら副会長さんとパフェをつつけばすぐに完食。僕は満足であるが、そこであることに気付いてしまった。 会長さん含め、周りの美形たちの存在を忘れていたことに…。 副会長さんと違ってこの人達座れてないんだよな。会長さん以外は自己紹介すらできていない。 会長さんの名前も知らないけど。 「会長さん達は何も食べないんですか?」 不思議だなぁって感じに聞いてみる。 空気になってた人達が一斉に此方を向く。仲良しかよ。 「あは、話しかけるタイミングも突っ込むタイミングも全部奪われたよね。」 始めに声を発したのは、薄い茶髪に焦げ茶色の瞳をしたロン毛の人。 どーでもいいけど僕中途半端なロン毛嫌いなんだよね。似合ってるから許容した。 ロン毛さんの声で我に返ったのか会長さんが僕の肩をガシッと掴んできた。 「ひにゃっ!?」
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