編入生は二人

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空を見上げる。 清々しい程の晴天だが、今は凄く憎らしい。 坂道を登り続けること10数分、一向に目当ての建物が見えてこない。 慣れない気候に、運動、足も疲れてきたし髪の毛も頬にくっついてきた。 右手で火照った顔を扇ぎながら、左手で引っ付いた髪の毛を払い、ため息をついた。 休憩がてら友人との話を思い起こす。 今から行く学園のことや、そこでの注意事項云々。 結構沢山ある上どれも奇抜なものばかりで、聞いて呆れたものだ。 止まっていた足を動かし再び進むこと数分、ようやく学園の一部と思われる塔の上部が見えた。 いや、何で塔が学校にあんのさ。 少しでも学園が見えたことで元気が出た。無意識に小走りになる。 いよいよ学園の全容が見え……ず、威圧するかのような高い壁があった。 学園はこの向こう側らしい。 とりあえず入口を探すことにした。 風景を楽しみながら壁伝いに歩く。この辺は自然が豊かな方らしく、時折視界に映る緑に目を細めた。 少し感心しながら何気なく壁に目を向けた。 綺麗な彫刻が施され、結構おしゃんてぃーで、本当に変なとこお金使ってるなーなんて考えながら探索を続けることまた数分。 壁とは質感がまるで違う、なんとまぁハイテクそうな門を見つけた。 そりゃ現代社会で、数人がかりで開かれる様な重厚な門は想像しちゃいないけど……もう少し夢が欲しいなーなんて。 何はともあれ門は見つかった。 しかし、新たな問題が浮上する。 開かない。ついでにインターホンもない。何か機械的なものがついているが機械オンチの僕にはよく分からない。 察した限りではカードキー系統だがそんなものは頂いていない。ちゃんと仕事してくれ。 壁は高い。高すぎる。嫌がらせか何かか? 何か使えそうな物はなかったかと 手持ちの鞄を探る。すると、フックの様なものがついた丈夫そうな縄が友人から渡された荷物の中に……彼女に対して突っ込むことはもう諦めている。 彼女は女神かメシアなのか。 どちらにせよ感謝感謝。早速使わせて頂く。 縄の先を腰に縛り付けてフックのついた方を振り回す。腕力は無いが、コントロール力はある方だ。 無事壁の向こう側へ引っ掛けられた。 少々の不安はあるが壁のデザイン的にしっかりと引っ掛かっている筈…だと信じたい。
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