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真っ白になった視界が次第に形を帯びてきた。手や足を見渡すがいつもと変わった所は無い。背中を見ようとすると背後に電算容体と円筒状の物体が窺える。確かに光体になってる。そう気付いた僕は天井を見上げてみた。自然と体が浮き上がる。天窓から屋根へ抜けると普段慣れ親しんだ月面都市の起伏のある丘陵住居区画が見える。空を飛んでいるような感覚に新鮮な驚きを覚える。さらに上へと思うと体は月の輪郭が見える高さまで上がっていった。自在に動く光体に気を良くした僕は表示盤が示す火星の方角に向かってみた。あっという間だった。眼下に建造中の火星基地フスタートが見える。次に木星へ向かってみた。なるほど言われていた通り、いや想像していたよりはるかに巨大だ。さらに土星。禍々しいものを感じる。光体だけあって殆ど時間は経っていない。次は何処へ行こうか。そうだ、地球外生命体が居ると噂になってたあの恒星系へ行ってみよう。そう思い進んだ。
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