強襲揚陸艦エステル

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 天は不平等にもゲンに二物を与えている。パイロットとなった今、ハヤトは模擬戦と言えども、どうしてもゲンを倒したい。そう願っていた。それはプライドや敵愾心だけが理由ではなかった。ハヤトにはどうしても遣り遂げたい目標があるからだった。 『電波回復します』 「よし、ゲンをサーチ。一撃加えたのち一気に大気圏を離脱する。奴の所為で俺まで大目玉だからな」 「レーダーに反応が無い。どうした? 奴はどこだ?!」  ゲンの機体が大気圏内へ進入した角度でトレースした筈のハヤト機のレーダーからゲンの機体消えた。まさか、燃え尽きる速度では無い筈だ。 『センサー再チェック中、復帰します。原因は不明……解像度回復中――上です!!!』  突然、機体に大きな衝撃が加わり、ハヤトはゲンの機体が自機に接触した事を理解する。 『ハヤト、お前相変わらずだな。素直過ぎるんだよ』  接触した機体を通し直接ゲンの通信がコックピット内のスピーカーから再生された。それと同時にハヤトのコクピットで光を発する情報ディスプレイのエフェクトが赤く点滅し、大袈裟に振動を演出すると一時的に機体の反応が停止した。 『ゲン搭乗機からのゼロ距離射撃着弾。コックピット直撃しました。ナカジマ機撃破されました』 「くそ! またやられた。奴は俺の行動を完全に読んでやがったんだ」  ゲンはハヤトの性格から、自機とはぐれぬ様にまったく同じラインをトレースすると読んでいたのだ。 『ゲンの奴、プラズマの影響を最初から利用するつもりで大気圏に進入したのね。それで、ハヤト……どうする?』 「大気圏を離脱後、直ちにエステルへ帰還する」 『了解』   
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