就職

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 単純にどのくらい学力があるのかは筆記試験を行えば分かるとしても、世の中を上手く渡っていく上での知識は面談ではかる必要がある。  何にしろ俺には何の不安もないけどね。  強そうな男の話を聞き終えて、質問がある者は質問をして解散という流れになったのだが、俺だけが呼び止められ家庭事情と年齢確認の後先程の質問をされた。  そこで俺は「学歴が無いことに何か問題でも?」と強気に応対し、試験に受かれば良いという言質を取った。 「本当に心配いりませんよ。俺は頭脳明晰で戦いの技術も凄いんで、試験の日楽しみにしてて。」  少しおちゃらけて見せて、俺は意気揚々とその場を後にした。  日も落ちてきて暗くなった街の中、中央に位置する大規模ギルドの周辺は当然街灯の光で足下も見やすかった。  昨日のうちに借りていた宿を目指して歩けば、少しずつ街灯が減っていく。  突然背中をかけ上る感覚に襲われた。 「わ、わー…ごめん。ごめんってば。さっき串焼き食っただろ?」  肩によじ登ったものの黒いつぶらな瞳と目を合わせて……可愛さに負けた。 「だーーわかったよ。待って。今あげるから。」  少し賑やかになった帰路。その時、何者かが俺たちを見ていた。  ことに俺は勿論気付いていたが、小者は放っておくに限ると可愛い相棒をそっと己の影に隠した。  宿に着いた時にはもう日は暮れていた。結構遅くなったけど宿はまだ開いている。扉を開ければ、さして広くもない食堂の方からガヤガヤと騒ぐ声が聞こえた。  借りている部屋に入りベッドに頭を埋める。目を閉じれば睡魔が襲ってくるが、その前に軽い食事を取る。夜行性の相棒はまだ元気そうだ。  仕事に目処が着いたし、長旅を終えてまだ2日だ。どっと疲れが来たようだと、ぱっぱと支度を済ませて寝ることにした。  翌朝自分でも驚くくらいぐっすり眠って快適な目覚めを得た俺は、穏やかな朝日を浴びて気持ち良さげに眠る相棒を見みながら朝食を摂った。  それから眠ったままの相棒を起こさないように鞄の底に寝かせる。  今日は特にすることもないので軽く運動がてら街の散策でもすることにして宿を後にした。  特に理由はないけど地理は把握しておきたいし、仕事のことを考えると街に詳しくなっておいて損はないだろう。  街並みは綺麗に揃いなかなか美しい外観をしているこの街は当然かなりの広さを持っている。  だからと言って普通の通りやそこに並ぶ店を覚えることにはそんなに苦労しない。大事なのは裏通りや街外れの店だ。  仕事に関わりはそう無いだろうが単純に楽しそうだから探す。  興味関心には素直に。自分の欲求に忠実に行動するのは大事なことだ。  まぁ、流石に1日で街中を全て回るのは不可能なので観光みたいなものだ。
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