就職

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 昨日に続き街は休日の賑わいを見せていた。相変わらず暑いが、まだ朝というのもあって幾分マシだ。  この辺に多いのは安い宿屋、人の家、食べ物店くらいだ。中央に向かって行けば高い宿屋になってくし、この辺よりは立派な家が増えてくる。  俺は城を中心に丸く広がったこの街を地道に歩いて見て回るつもりはない。手っ取り早く建物の名前と場所を覚えられれば良いのだから、高いところに上がって外側から回っていって中心に向かってくつもりだ。  でもはっきり言ってそういう行動は奇行だし悪目立ちする。だからあくまでこっそり回る。逆に怪しいからその手の人に見つかったら面倒だけど、今は効率を重視したい。  適当に店を確認しながら就職後のことを考える。給料がどのくらいかは知らないけど、収入を得たら買いたい物とか。いやむしろその位しか今考える事がない。  あーあー昼どうしようかなーーと少し速度を上げて回っていれば、昨日の串焼き屋を見つけた。おっちゃんは本日も厳しい目を肉に向けている。 「おっちゃん、串焼き3つ。昨日は有難うね。おかげで仕事に着けそうだよ。」 「そうか。」 「うん。両親も安心するよ。字面だけならすげー平和そうな仕事だもん。」 「そうか。串焼き3つ。」 「どうも。ところで串焼きは串焼き単品で食べて欲しいこだわりとかある?」  首を振ったおっちゃんを見て、隣の屋台でパンを買った。肉を挟んで食べる。美味い。  街は半分ほど回ったと思う。何件か面白そうな店も見つけたから機会があれば行きたい。お昼の串焼き1つ分を食べ終えるとともに、休憩も終了させる。  匂いに反応したのか相棒が目を覚ましたようなので串焼きを1つあげた。  探索を再開してすぐ俺は路地に入った。上から見て回るだけの予定だったけど少し妙な空間を見つけたので入ってみることにしたのだ。  裏通りはとても入り組んでいて、地下を含めて全体が繋がっていたりする。そんな中でこの路地から繋がる裏通りは限られた範囲しかなく、非常に興味がそそられた。  普通に考えて明らかにヤバそうな場所なのだが、逆に言えば若い子が飯食いながら入ってきたくらいで始末するとか浅慮な真似をするやつは存在出来ない場所でもあるだろう。  俺には敵意も無ければ企みもなく、純粋な好奇心しか持ち合わせていない。あまり深く踏み込まなければ手は出されないだろう。  結局今日の探索はその限られた範囲をのんびり観光することで終わった。  面白い場所だったけどお世話になることは無さそう。探索も終わったので宿に戻って明日の準備をすることにした。
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