走行戦姫 ランドウィッシュ 第一話

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走行戦姫 ランドウィッシュ 第一話

「さて、波乱が波乱を呼び、勝負の行方は分からなくなってきました。現在トップは紅の常勝戦姫プロミネンスブラッド。その後ろをピッタリマークしているのは誰も予想だにしていなかったダークホース。シャドウチェイサー。一機分空けてその背を追うのは新機種のサイバー攻撃を得意とするティアドロップ。残り一周どの機体が一位になるのかまだまだ予想がつきませーん。トップ集団以外に走っているのは残り1機。周回遅れのレース初登場の新規機体、ランドウィッシュ。追いつくことは不可能と考えたかゴールラインから動かない。ここでトップ集団が最後の直線へと入った。各機体最後に温存している武器はあるのか。最後の駆け引きが始まる。」 私は静かに銃を構える。向かってくる3機の機体に向けて標準を合わせる。重くて使い物にならない、この絶望的な状態になった原因となった武器を持って目の前を見据える。チャンスは一瞬、最後の駆け引きで動いた瞬間を狙う。引き金にかけた指が震える。負けられない。ここで負けるわけにはいかない。ゴールラインまであと300メートル。もつれあう3機が射程距離の中へ入る。引き金を引くと共に轟音だけが辺りを支配する。そして耳鳴りが終わって聞こえたのは観客の歓声と実況者の興奮した声だけだった。
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