プロローグ

2/6

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
そんな感じだから、 友達も多くはなかった。 しかし、 あまり寂しいと感じたことはない。 一人で本を読むのが、 好きだったからだ。 小学校に入ると、 クラスの人数も増え、 自然人付き合いも多くなった。 しかし、 本当に心を許せるのは、 本だけだったと思う。 それは、 今でもほとんど変わっていない。 勉強も運動もそこそこ出来たから、 クラスでも少し特別な存在になった。 話す子がいないわけではないが、 つかず離れずの状態だ。 孤立している、 とは違う。 私の周りにだけ、 薄い薄い膜がめぐらされているようだった。 その膜は半透明で、 中からも外からも覗くことはできるが、 決して他人がその膜を破って入ってくることはなかった。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加