15人が本棚に入れています
本棚に追加
出産の間、
私は部屋の外で父と一緒にソファに座っていた。
そのうちに、
母方の祖母と祖父が駆けつけ、
父方の祖父母も来た。
「どうなの?」
「いや、まだ」
そんな会話を聞きながら、
私はただ、
出産が早く終わることを祈っていた。
待っている間中、
暇をもてあそんだ祖父母たちがひっきりなしに話し掛けてきて、
うんざりしていたのだ。
出産は数時間で終わった。
安産だったらしい。
祖父母たちが一斉に、
母と新しい孫めがけて走って行くのを、
私は安堵のため息で見送っていた。
生まれたての赤ん坊は顔がしわくちゃで、
体には皮膚の残骸のような白い物体がそこかしこに付いていた。
お世辞にも、
可愛いとは言えない。
同じ人間とも、
あまり思えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!