プロローグ

1/6
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ

プロローグ

私には、 7つ歳の離れた弟がいる。 こいつが、 私の悩みの種だ。 弟との出会いは、 13年前。 私は、 小学校に上がったばかりだった。 小さな頃から、 私は少し変わった子どもだった。 別に、 とりたてて変な行動をとるわけでも、 変に大人しいわけでもない。 しかし、 妙に大人びていた。 冷めていた、 というより冷静だった。 怒ったり泣いたりしないわけではないが、 他の子に比べて頻度は少なかった。 怒っていると、 途中で「この怒っている私の姿って、 面白いな」と、 思ってしまうのだ。 そうすると、 途端に怒りがどこかへ行ってしまう。 泣いているときも、 同じだった。 いつも、 自分の他にもう一人の自分がいて、 そのもう一人の自分が上から自分を見ていた。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!