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「結局、泣かせちゃったかーー」
「……だって、すごーくロマンチックなのにしたかったのに」
「ジョージ様がしてくれるみたいな?」
くるみが無言でいると、くるみは、翔吾の脚の間にくるみがすっぽりと挟まれたままきゅうううと抱きしめられて身動きが取れなかった。
くるみの上半身がすっぽりと翔吾の肩の中に隠れる。
ーー翔吾の肩ってこんなにがっしりしてたんだ……
男の子なんだなーー
「くるみ、大好きだよ」
不意に翔吾が耳元で囁いた。
かすれるように低く甘い声。
「すぐにぷっと膨れるこのほっぺたも大好きだ」
そして、ほっぺたにちょこんとキスをした。
「ひゃっ!?」
「シーーー……黙って」
「……」
「こんな風に、首まで真っ赤になるところも可愛い」
そして首すじにちゅっとキスをした。
「……」
「こっち向いて」
翔吾がくるみの後頭部を抱えて、自分の方に引き寄せる。
おでこがこつんとぶつかった。
「くるみの瞳も綺麗だよ」
「……」
視線が絡み合って恥ずかしさに目を閉じた瞬間、唇が触れるのを感じた。
ゆっくりとくるみの唇に覆いかぶさる。
翔吾の熱がくるみにも伝わってくるよう。
想像してたのと全然違う。
身体中の力が抜けて動けない。
まるで魔法にかかったように、意識がぼーっとして。
……夢?
これは……夢じゃないの?
もしも、夢なのならば……一生醒めないで欲しい。
「……夢?」
くるみが呟くと、翔吾が「違うでしょ」と囁いて、またくるみの唇を塞いだ。
ーー現実の方が夢よりもずっと素敵だ……
くるみはうっとりとして、とろけるような翔吾のキスを感じていた。
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