史上最強の失恋

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「悪いけど。うぜーんだよ、こういうの」 ジョージ様は目の前でそれをビリビリに破いた。 それだけじゃない。 大きく両手を振ってばら撒き、それは紙吹雪のようにひらひらと宙を舞う。 端正な顔立ちの彼は、人ごみの中でもひときわ目立っている。 「え……?」 くるみは呆然として言葉も出ない。 その場に立ち尽くしているとーー 「行くぞ、洋平」 ジョージ様は隣りにいる親友らしき男にぶっきらぼうに声をかけて早足で歩き出した。 こちらもなかなかのイケメン。 茶髪にピアスが妙に似合っている。 「お、おうッ」 洋平と言われた男は慌てて彼の後を追う。 二人はすぐに駅の雑踏に紛れて姿を消した。 ーーま、まじ……で……!? くるみは今、起きたことが信じられない。 ーーゆ、夢だよ! これは、きっと悪夢に違いないーー!! 幽霊のようにふらふらとさまよい、そのまま電車に……飛び込むことはせずに、無事に飛び乗った。 何とか遅刻せずに学校に着きそう。 こんなにツラいのに、この上、鳥ポンにまで嫌味を言われちゃたまらない。 ダッシュで教室に入ると、若菜を目で探した。 若菜は、朝も早よから、机に座って優雅にネイルなどしている。 この季節にふさわしいベビーピンクのネイル。 「わかなー!! ちょっと聞いてよーー!!!」 くるみの大声に、若菜の手元が狂った。
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