サクラサイタ……のか?

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「……な、何?」 「壁ドン?」 言うなり、くるみの顔の真横にどんと手をつく。 一瞬にしてくるみの顔がぱぁっと真っ赤になった。 「ちょ……ちょっと! 待った。……タ、タンマ!! タンマタンマタンマーー」 「……タンマ!?」 翔吾が大声でゲラゲラ笑い出した。 「タンマってーー昭和かよ。 久々に聞いたーー」 「……だって」 「……帰ろうか」 翔吾がくるみの背中をポンと押す。 それからくるみに手を差し出した。 「え、うっ……」 くるみの口からは訳のわからないうめき声しか出てこない。 「手をつなぐのもNG?  今さら?」 翔吾がくるみの顔を覗きこんだ。 ーーいや、だから、その、急にそういう感じでこられても…… は、恥ずかしいじゃないか! くるみがもじもじしていると、翔吾はふっと息を漏らした。 「ま、いいか。じゃ、行くよ」 そのまますたすたと歩き出す。 ーーえぇ! 何にもナシなの?   なんか、それはそれでちょっと…… 数歩先に行っていた翔吾がくるみの方を振り返った。 「すげーじっとりとした視線を感じるんですけど。  考えてることがダダ漏れ」 にやにやと笑っている。 「言ってみ。オレにどうして欲しいか」 「……言えません」 ーー恥ずかしい! 言えるわけないじゃん!! 「じゃ、このままでいいの?」 「……」 「手をつないでください。  チューもして欲しいです!」
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