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「……どうして言ってくれなかったの?」
「だって、聞かなかったじゃん」
「……」
「まあーーでも、オレも意地が悪いけどな。
くるみが誤解してるのわかってて敢えて何も言わなかったから」
「……結構、性格悪いよね」
「でも、好きなんだろ? オレのことが」
「……どうだろ」
精一杯の反撃だったが、翔吾は涼しい顔で言った。
「顔にすぐ出る上に、ウソつくのも下手だね、くるみは。
浮気しないほうがいいよ」
ーーくっ! 悔しい!!
この余裕……
***
何度も何度も時計を見てしまう。
落ち着かない。
ふぅーーと深呼吸して、自分に「絶対、大丈夫のはず」と言い聞かせる。
今日は、翔吾(と蘭)の合格発表の日だった。
二人は、キャンパスで今か、今かと発表が解禁になるのを待っているはずだ。
くるみは家の中をウロウロと歩き回っている。
リビングのカウチの周りを三周した時、ケータイが「ジャジャジャジャーン」と派手な呼び出し音を立てた。
翔吾からの電話だ。
「もしもし! どうだった?」
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