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春のうららかな日。
くるみは翔吾と公園で待ち合わせをしている。
なんやかんやで、コトは進展しないまま、二人は大学生になったのだが、
久しぶりにゆっくり会えそうなので、
お弁当を持ってのんびり花見をする予定だ。
くるみが公園へ行くと、翔吾は芝生の上に寝転がっていた。
気持ち良さそうに寝ているその無防備な姿に見とれた。
ーーカッコいいなぁ……
隣に座って翔吾の手をそっと握った。
翔吾が目を覚ます様子は見られなかった。
……
…………
ーーもう少し……
もうちょっとだけ……
心臓がどっくん、どっくん、と音をたてている。
どっくん、どっくん、どっくん……
発作を起こしそうだったけど、誘惑に抗うことができず、少しずつ体を前に倒していった。
赤ちゃんのようにあどけない表情の翔吾。
思わず、その頬に手をあてた。
そのまま髪をかきあげる。
どっくん、どっくん、どっくん……
ーー大好き……
動きを止めることができなくて、くるみはそのまま唇を翔吾のそれにのせた。
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