サクラサイタ……のか?

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柔らかい感触をかすかに捉えた瞬間、 「……ん」 翔吾がパチリと目を見開いた。 その拍子に目を開けたくるみは翔吾とバッチリ目を合わせてしまった。 「わ!?」 「あっ! ゴメン!!」 くるみが慌ててのけ反る。 「……びっくりしたーー」 翔吾が体を起こす。 くるみを見ると、くるみがじんわり目に涙を溜めていた。 「何で? 何で泣いてるの!?」 「だって…… は、初めてだったんだよーー」 「何が?」 「返せ!! アタシのファースト・キスを返せ!!」 「……もしかして、今、したの?」 「そーだよ! なのに、急に目を覚ましたりして……ヒドーい!! 雰囲気ぶち壊しだーー!!」 「いや、でも寝てる間とか反則じゃね?」 「うるさーい!! 返せ!!!」 「いやだ。もらったもんね」 「ずるい!」 くるみが腕を振り上げて翔吾にくってかかろうとした時。 後ろからくるみを抱き寄せた。 「ごめん。 まさか、キスなんてしてると思わなかったから、完全に不意打ちだった、今」 翔吾が囁く。 「でも、やっぱりズルくない?」 「だって……」 気持ち良さそうに寝てる寝顔を見てたら、何かすごくきゅうぅって気持ちになって…… 気がついたら、唇が触れてた。 何かに突き動かされるように。
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