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雲のない晴れた日を映したような大空の青。
吸い込まれてしまいそうな、神秘的な青。
栗毛の体に、金色のたてがみとしっぽ。
バサバサの長いまつげ。
太陽の光に反射して、毛並みが美しくツヤツヤと輝く。
まるでサラブレッドみたい。
「金色のたてがみに碧眼、美しいな」
「尾花栗毛だよ」
「尾花?」
「ススキの穂のことを“尾花”と言うんだ。たてがみやしっぽがススキのような金色だろう」
「本当だ、ススキみたいだ」
「さすが山南さん、物知りだな」
「ため息がこぼれるほど見事な馬だ」
「気性が穏やかなら完璧だね。また鼻息荒くして」
「いいじゃない、気性が激しくても。新選組の馬なのよ。勇ましくて当然だわ」
人の声に少し興奮をしたのか、声を上げて頸を左右に振り、たてがみを揺らす。
「離れたほうが…」
興奮を落ちつかせるよう、左側の頸をそっと優しくなでた。
「今日はありがとう」
耳を立てて、あたしを見つめる。
「ふふっ、耳も目もかわいい!いい子ね。これからもよろしくね、つばさ」
「つばさ?」
「西洋の神話にペガサス…じゃない、天馬という翼の生えた白い馬がいるんです。空を翔るんですよ」
「へぇ、天翔る馬か」
「お世話の仕方、教えてください。人も動物も、愛を込めれば応えてくれるから」
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