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もう夜だなんて、そんなに眠ってた?
まだ頭がぼーっとするけど、薬が効いたのかだるさはない。
熱も下がったみたいだ。
起き上がり、汗を拭いた。
聞こえる。
お経、木魚の音。
あ、お線香のにおい。
かすかにこの部屋まで届いてくる。
目をとじ、手を合わせた。
勝手に唇が震える。
涙が一筋、こぼれて落ちた。
感情が不安定でコントロールできない。
おかしいな、こんなこと。
半開きの目のまま、バサッと大の字に寝転がる。
芹沢先生たちの死の理由は、長州藩からの刺客に襲われたことになっているらしい。
廊下からそう噂話をする声が耳に入った。
会津藩お預かりの名を利用した日頃の行いの悪さ、乱暴狼藉、非道な振る舞いの数々。
実は、それを見かねた会津藩からの暗殺指令だったとも。
頭おかしいんじゃないの?
人を斬って死なせて、その後いつもどおり普通の生活に戻れるなんて。
考えられない。
命に対する感覚が違いすぎる。
そうだ…
土方さんが言ってたっけ。
普段は普通に生活をして笑っていても、何かあったときにはためらわず人を斬る…って。
今いるのはそういう時代。
ここはそういう世界だ。
甘かった。
覚悟してたはずなのに、できていなかった。
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