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声が出ずに固まっていると、両隣の沖田さんと平助さんに肘でつつかれた。
「名前!聞かれてる!」
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小声で救いの手を差しのべてくれたのがありがたい。
「は、はい…秋月かれんと申します」
「會津の出というのは誠か?」
「はい。会津の者として…会津中将様にお目通りでき…大変光栄でございます。何と申し上げれば良いか…」
自分が何を言っているのか、何を言ったらいいのか、言葉遣いは合っているのか。
『会津中将』という日本酒があるのを思い出して、それを声にしたけど良かったかな?
会津藩主のことを指すと聞いた記憶があるし、お咎めがないからOKってことで…
松平容保。
儚げで美しい顔立ちのこの人が、会津の若き藩主。
局長は松平容保…様からの信頼も厚いらしい。
顔は知っていても、当然白黒写真でしか見たことはない。
彼の生きていた時代に来たからといって、普通は会えるわけないのに。
何で?!
今、なぜ目の前にいるんだろうか。
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