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華麗なメロディがぱーんと頭の中で鳴り響いた。
ショパン『英雄ポロネーズ』
『ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53』
深呼吸。
細く吐いた息も、鍵盤に置いた手も。
どうか震えないで。
目をとじて念じる。
平常心。
大丈夫、弾ける!
3/4拍子。
Maestoso、荘厳に、堂々と。
頭の音はfzで2分音符、8分休符の後すぐにpのままクレシェンド、デクレシェンド。
fz、またpでクレシェンド、デクレシェンド…
16小節の長い前奏。
半音階のような細かい動き。
スラー、滑らかに。
16分音符で指がもつれてリズムとテンポが狂わないように。
あの力強く有名なメロディに向かってクレシェンド!
やはり初めて耳にする音色にざわめく。
やだな、調律してないから。
和音の音程が気持ち悪い。
気づいてないといいけど…
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