9.心に灯りをともす

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「そなたに問いたい。予は民のために何をすべきか?」 「殿!何故この娘にそのような…」 「教えてはくれぬか?」 「…国同士が手を取り合い平和な国をつくり、民を導くこと、でしょうか」 「これ娘、控えよ!殿の御前、わきまえぬか」 「良いのだ」 「しかし!」 「続けよ」 「はい…故郷のあの山河も湖も、青空の下そよぐ黄金の稲穂も、雪一面の大地も、桜が舞う香しい風も。磐梯山に猪苗代湖…豊かな自然も人の生活も、平和であればこそでございます」 「うむ」 こんなことを言ったら、首が飛ぶかも… それこそ牢獄行きかも… でも…! 「ご無礼を承知で申し上げます」 会津藩では特に身分の上下が厳しく、農民がかなりの重税に苦しんでいたと聞いたことがある。 京都守護職拝命でさらに苦しめられたと。 「どうか、会津の民と新選組に慕われるお殿様でいてくださいませ。どうか、民の暮らしに目を向けてくださいませ」
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