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13.心恋[うらごい]し、月下の君
何てことを言っちゃったんだろう…
あの場は何とか言いくるめて逃げたけど。
あんなの、好きですって告白してるようなものじゃない。
どんな顔して会えばいいの…
わたしの恋路はどうなることやら。
思いっきり前途多難な恋です。
「ひとりで大丈夫ですって!」
「いや、そういうわけにはいかん」
「沖田さんも島田さんも忙しいでしょ?見廻りとかお稽古とか…」
「こうして非番の者がつくんだから。気にするな」
「何言っても駄目だよ、しばらくは。近藤先生にも山南さんにも、源さんにまで言われてるんだから」
「そんなぁ…沖田さんまで」
「まぁ、気持ちは分かるけどね」
「俺なんて土方さんから厳しーく言われて、かれんのこと頼まれたんだからな」
「えっ!?土方さんがっ?」
「だから、問題だけは…おい、聞いてんのか?」
土方さんが気にかけてくれたの?
こんな小さなことでも、うれしくて顔がにやけちゃう。
残念ながら想いは一方通行。
問題起こすなって意味だろうなぁ。
あの一件以来、あたしが出かけるときはお目付け役がつくことになった。
それで、今日は非番の沖田さんと島田さんが一緒っていうわけ。
しばらくの間はしょうがないか…。
また迷惑かけるのも申し訳ないし。
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