13.心恋[うらごい]し、月下の君

1/15
前へ
/868ページ
次へ

13.心恋[うらごい]し、月下の君

何てことを言っちゃったんだろう… あの場は何とか言いくるめて逃げたけど。 あんなの、好きですって告白してるようなものじゃない。 どんな顔して会えばいいの… わたしの恋路はどうなることやら。 思いっきり前途多難な恋です。 「ひとりで大丈夫ですって!」 「いや、そういうわけにはいかん」 「沖田さんも島田さんも忙しいでしょ?見廻りとかお稽古とか…」 「こうして非番の者がつくんだから。気にするな」 「何言っても駄目だよ、しばらくは。近藤先生にも山南さんにも、源さんにまで言われてるんだから」 「そんなぁ…沖田さんまで」 「まぁ、気持ちは分かるけどね」 「俺なんて土方さんから厳しーく言われて、かれんのこと頼まれたんだからな」 「えっ!?土方さんがっ?」 「だから、問題だけは…おい、聞いてんのか?」 土方さんが気にかけてくれたの? こんな小さなことでも、うれしくて顔がにやけちゃう。 残念ながら想いは一方通行。 問題起こすなって意味だろうなぁ。 あの一件以来、あたしが出かけるときはお目付け役がつくことになった。 それで、今日は非番の沖田さんと島田さんが一緒っていうわけ。 しばらくの間はしょうがないか…。 また迷惑かけるのも申し訳ないし。     
/868ページ

最初のコメントを投稿しよう!

371人が本棚に入れています
本棚に追加