13.心恋[うらごい]し、月下の君

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でも、ちょっとだけからかってみたくなった。 「あーっ!」 「どうした?!」 「あれ!何か飛んでる!メリケンのじゃない?!」 なーんて、古典的なワザを使ってみる。 引っかかるわけないよね。 そう思ってふたりを見ると… 「どこだ?」 「島田さん、見えました?」 「いいや」 空を仰いで、キョロキョロと。 思いっきり引っかかってるし。 必死に何かを探してる。 そっか。 ここは古典の世界だったっけ。 それじゃあね。 失礼して、今のうちに… 「ねぇ、どこにあるん…あっ!!」 「しまった!やられたっ!かれんのやつ。早く追いかけないと!」 「このまま逃げられたら大目玉だ!」 …ほどなくして、追いかけてきたふたりによって捕獲。 「かれんっ!」 「冗談です」 「まったく」 「その代わり、ひとつお願い聞いてくれます?」 「またよからぬことを思いついたんじゃないだろうな」 島田さんの警戒の目が光る。 「違いますよ。ちゃーんと、人生に役立つことです」
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