13.心恋[うらごい]し、月下の君

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「また彼女の好奇心が歩いているのです」 「ああ、いつもの」 「しかし、馬に乗れるようになれば必然的に好奇心の出歩く範囲も広がるというもの…」 「この調子だと、乗りこなすまでそう時間はかからないだろうねぇ…」 「まあ、洛中は馬を走らせることはできない決まりですから、大丈夫かとは思いますが」 山南さんと源さんが顔を合わせて苦笑い。 「ともあれ、元気になって何よりだねぇ」 「かれん!本当に嫁の貰い手なくなっちまうぞ」 「大丈夫ー!まだお嫁に行く気ないから」 永倉さんがからかうから、大きな声で笑って返答。 「よそ見をするんじゃない」 「はーい」 「只今戻りました!」 平助さんの明るい声。 見廻りに行っていた土方さんたちが戻り、壬生寺へ顔を出した。 「おかえりなさーい!」 「かれんちゃん?!」 「かれん!今度は馬か。次は俺が槍、教えてやろうか?」 「左之!」 土方さんがそれ以上言うなとばかりに制止した。 「別にいいじゃないですか。馬に乗るくらい」 沖田さんが味方してくれる。 あ、斎藤さんまでびっくりしちゃって。 女が馬に乗るのがそんなにめずらしいことなの? それはさておき。 恋をしてからもとの時代に帰りたいって気持ち忘れてた。 恋の力ってすごい。 そりゃあ、戻れないと困るよ。     
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