2.我が上の星は見えぬ

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「近藤さんには?」 「いや、まだ」 「あっ!」 「今度は何だ…」 「もしかして茶道?日舞?歌舞伎役者?伝統芸能的な?!」 くるりと背中を向け、わたしと距離を置いて耳打ちする。 「…こいつ、大丈夫か?」 「ぼーっとして意味不明なことを口走る…。医者を呼んだほうがいいのでは?」 「そうだな。斬り合いの場に居合わせたから、精神的にやられちまったかもしれん」 何を話してるのかは聞こえなかったけど、意見が一致したんだろう。 顔を見合わせ、うん、と同時に頷いた。 「足も挫いているし、医者を呼ぼう」 「あの、今、保険証持ってないんですけど…」 「は?」 混乱している割に、意外と現実的な言葉が出た。 「さっきから意味の分かんねぇことばっかり!何が言いてぇんだ!」 「まぁまぁ土方君、落ち着いて」 そんな… それじゃあ、わたしの頭がおかしいみたいじゃない。
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