15.まことの恋

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「自分の気持ちに嘘をついて、他の方のところへは行けません…」 「難儀やなぁ」 「結婚生活は現実のものやで。浮わついた恋心より、堅実な結婚を選ぶほうが幸せなんやないの?」 山南さんも土方さんも予想外の告白に驚いているようだ。 本人の前でこんな話をするとは。 遠回しの告白。 土方さんに恋心が知られたとしても、みんなにすべてを聞かれたとしても、そんなのどうでもよかった。 こうする以外、分からなかった。 ダメなの。 どうしてもお嫁には行けない。 気持ちを殺して、この恋を自分から捨てるなんてできない。 逃げないと決めた。 自分の心に誓ったんだもの。 押さえつけていた気持ちがあふれて、途中で泣き出してしまった。 必死で塞き止めてたのにな。 「かれんちゃん、ええんよ」 「ごめんなさい…」 「さ、顔上げ」 「おふたりのお顔をつぶしてしまうような事…。ごめんなさい…本当に申し訳ありません…」 おばさんの娘さんへの想い。 叶えられなくて、本当にごめんなさい… 「かれんちゃんがここへ来てくれはったんは、綾からの贈り物ちゃいますやろか…」 「綾が?」 「悲しむうちらを思うて贈ってくれたんよ」 「かれん君が現れたのは、お綾ちゃんが亡くなって二ヶ月ほど経った頃でしたね」     
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