2.我が上の星は見えぬ

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「何か撮影ですか?『新選組』とか、幕末モノの」 「シンセングミ、バクマツ…はて?」 怪訝な顔のまま。 何で? さっきの水色の羽織は新選組のものでしょ? よく見る、あの独特の。 「すみません、話が見えないのですが…」 「ここはどこですか?」 「壬生(みぶ)浪士組の屯所です」 「み、壬生…浪士組…?」 頭が混乱する。 この人たちは何者?! またも眉間にシワが寄る。 「ここ、京都ですか?!」 とっさに聞いたけど、何を言うのだとばかりに首を傾げる。 「はい、ここは京の都のはずれ、壬生村ですが…」 壬生村ってドコ? その呼び方の違いに不安が膨れ上がる。 壬生寺とか壬生狂言とかの壬生? “壬生村”ってどういうこと? 壬生寺があるのは京都市内だし。 しかも“京”っていつの時代の呼び方してるわけ? どこまでが夢で、どこからが現実か分からない。
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