17.花在りて天香夜

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しばらくしたら、しれっと会話をフェイドアウトして、ふたりの世界にしてあげなくちゃ。 「かれんちゃん、昼間は助けてもろて、ほんまにおおきにありがとうさんでした」 帰り際、内緒話みたいに耳元でこっそり。 「うちはあんたが羨ましい。土方先生のおそばにずっとおられるさかい…」 その言葉が切なくて。 局長とのご縁がうまく結ばれるといいな。 心の底からそう思った。 「なーんて」 深雪太夫がニコッと笑ったら、大きめの前歯が見えた。 それがものすごくキュートで。 「明日、かれんちゃんとふたりで会いたいんです。ちょっとの間でかましまへんよって。近藤先生、わがまま聞いてもらえますやろか?」 「かれんさん、お願いしてもいいかな?」 「もちろんです!」 局長、幕末で初めて過ごす大坂は、素敵な日々になりました。 わたしを深雪太夫に会わせてくれてありがとうございます。 大切な人がひとり増えました。 局長と深雪太夫。 どうか、ふたりを結んでください。 見上げる夜空に瞬く星。 願いを込めて。 幸せになってほしい人たち。 わたしの周りにはそういう人がたくさんいるの。 飛ばされたのがこの時代のみんながいる場所で本当によかった。 やって来たときには想像もできなかった。 めぐり逢えた人たちがこれほどに大切な存在になるなんて。     
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