18.愛し青の戀人

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これから数年先の未来に起こること、言わなくていいんだろうか。 例えば言ったらどうなる? 信じてくれたとして。 史実を知れば、戦を防ぐ策が見つけられるかもしれない。 それとも、望むところだと勇んで戦争に行く? それが濃厚。 容保様も新選組も、自分の意に反する行動はしない。 必ず幕府への忠誠を貫く。 武器や兵力を最新鋭に強化して、それに見合う訓練を毎日徹底的にやれば勝てるかもしれない。 山南さんがいい策を考えてくれるかも。 話してみる? でも。 もし幕府側が勝ったら、未来はどうなる? 現代まで歩んできた日本の近代史は消える。 来るはずの、わたしがいた未来はやって来ない。 未来を生きるはずの人は生まれないかもしれない。 家族も友達も。 ここで生きていくと決めたけど、未来を切り離すことはできない。 現在ここにも未来にも、大切な人が生きてる。 どうすべき? わたしにとってはどっちも大切なの。 嘘ついてるみたいで申し訳なくて…。 葛藤を繰り返す。 後ろめたくて、歯がゆくて、苛立たしい… 「どないしたんどす?まばたきもせんと難しい顔しはって」 謎の美女の問いかけに、ハッと我に返る。 「あの…すみません、どなたでしたか?」 「あれま、堪忍え。ころっと忘れてたわ。島原の芸妓の明里(あけさと)どす」     
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