3.月あかりは今宵しも

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「先ほど壬生浪士組と仰いましたが…」 「申し遅れてすまないね。壬生浪士組副長助勤、山南(やまなみ)敬助と申します」 それって新選組の前身の名前? 歴史は詳しくないけど、察しはいいほうだと思う。 だって、あの羽織は新選組だという証明のようなもの。 てことはやっぱりさっきの人は… 土方歳三(ひじかたとしぞう)?! 嫌だ!やめてよね! 着物だから怪しまれずに済んだ。 幸い髪も染めてないし。 仮に洋服だったら、髪が茶色かったら…どう見られてたか。 せめてもの救いね。 それより、なぜこんな展開になったのかと頭を抱えて困惑しまくっていると、用事を済ませた土方歳三らしき人が戻ってきた。 「山南さん、すまんな」 「彼女と話をしていたよ」 「落ち着いたか?」 「こちら秋月かれんさん」 「かれん?変わってるな」 「君は京の生まれではないね。どちらの藩の出だい?」 “藩”って何て古めかしい。 都道府県は通じないのね。
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