370人が本棚に入れています
本棚に追加
「それから、役に立つかは分かりませんが、生け花と書道と音楽なら心得が…」
「そうは言ってもね…知ってのとおり、ここは壬生浪士組の屯所だ。男だらけで生活している場所なんだよ」
「それは…承知の上です」
「普段は笑ってる奴も何かあればためらわず人を斬り、血で汚れて帰るんだぞ?」
さっき見た衝撃の光景。
それが、この時代模様のようだ。
「町には俺達のことをよく思っていない奴等もいる。人を斬って恐れられてる男たちだぜ。さっき見ただろ」
「見ましたけど…」
「腰抜かして気失った奴がここに住めると思うか?」
「土方君、落ち着いて…」
「いーや!ましてやお前は女だ。いつ誰に襲われたっておかしくねぇ。そんなとこにいて耐えられるかよ」
「…耐えます!お願いです。どうかここに置いてください」
「駄目だ」
きっぱりと冷たく言い放つ。
この人の言うことも理解できる。
耐えられるか耐えられないかなんて、そんなの分かんない。
自信はない。
最初のコメントを投稿しよう!