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「おい…」
ぼそりと低い声の主に肩を叩かれた。
「はい…何でしょう?」
「お、ハジメ」
「…あれ、干したのはあんたか?」
「洗濯物?そうですけど」
「…もっとこう、布の端から端までシワのないようピンと伸ばせ」
「あれじゃダメですか?」
「…乙」
「おつ?お疲れ…さま?」
「あれでは早く乾かん。日光と風が通るよう、今少し間隔を空けてくれ」
「はぁ…直しますね」
「いや…俺が。手本にしてくれ…」
庭に直行、黙々と手際よく干し直す。
丁寧に干したつもりだったんだけどな。
アイロンらしきものってないの?
「あいつ、洗濯にはかなりのこだわりがあるんだ。意外だろ?」
「これはアイロン要らずね」
「アイロン?」
カリスマ主婦も驚きの技に感心し見入る。
ああ…
家族も友達も元気かな。
こんな奇怪な状況でも生きてるよ、って。
せめて心配しないで、とだけでも伝えたい。
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