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圏外だけど、試しにメールしてみようか?
こっち見てないよね?
左之助兄ちゃんに背を向けて、着物と帯の間からケータイを取り出す。
弟の悠にでも。
カチカチ…慣れた手つき、素早く動く親指。
“元気?何してる?”
…でいいか、ひとまず。
今の状況をメールで説明するのは難しい。
「送信!」
一生のお願い!
繋がって!
“送信できませんでした”
はぁ…案の定エラー。
やっぱダメか…
予測どおりの結果に、ガックリとうなだれた。
「やあ!かれんさん」
「はっ、はい!」
あわあわと慌てたために裏返る声、するりと手から落ちそうになる未来の機械。
セーフ。
何とか握りしめ、後ろ手に隠してニッコリ顔を向ける。
通りかかった局長、沖田さん、藤堂さんに声をかけられた。
焦った…
この摩訶不思議な未来の小型機器、見つかったら何て説明したらいいか。
気づかれないよう帯の間に戻し入れる。
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