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「今から町に出掛けるところでね」
「そ、そうですか。今日は非番ですか?」
「そうなんだ。良ければ一緒に行かないか?」
「京の町を案内してあげるよ」
「ぜひ!まだよく分からなくて」
「今から出れる?」
「あ…わたし、草履を片方なくしてしまって。どうしよう…」
「おい、これ履いて行け」
タイミングよく庭に土方さんが現れ、踏み石の上にかわいらしい草履が置かれた。
「歳、いつの間に」
「草履がねぇんじゃ、どこにも行けねぇだろ」
ぶっきらぼうな口調。
もしかして照れてる?
局長のほうを向いたままで、目を合わせてくれない。
「わぁ…」
紅緋色の鼻緒、白梅の柄。
自分好みの草履に胸がときめく。
「いいんですか?」
「履いてみろよ」
草履を履いて、ぴょんと跳びはね庭に出る。
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