13.心恋[うらごい]し、月下の君

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雲のない晴れた日を映したような大空の青。 吸い込まれてしまいそうな、神秘的な青。 栗毛の体に、金色のたてがみとしっぽ。 バサバサの長いまつげ。 太陽の光に反射して、毛並みが美しくツヤツヤと輝く。 まるでサラブレッドみたい。 「金色のたてがみに碧眼、美しいな」 「尾花栗毛だよ」 「尾花?」 「ススキの穂のことを“尾花”と言うんだ。たてがみやしっぽがススキのような金色だろう」 「本当だ、ススキみたいだ」 「さすが山南さん、物知りだな」 「ため息がこぼれるほど見事な馬だ」 「気性が穏やかなら完璧だね。また鼻息荒くして」 「いいじゃない、気性が激しくても。新選組の馬なのよ。勇ましくて当然だわ」 人の声に少し興奮をしたのか、声を上げて(くび)を左右に振り、たてがみを揺らす。 「離れたほうが…」 興奮を落ちつかせるよう、左側の頸をそっと優しくなでた。 「今日はありがとう」 耳を立てて、あたしを見つめる。 「ふふっ、耳も目もかわいい!いい子ね。これからもよろしくね、つばさ」 「つばさ?」 「西洋の神話にペガサス…じゃない、天馬という翼の生えた白い馬がいるんです。空を翔るんですよ」 「へぇ、天翔る馬か」 「お世話の仕方、教えてください。人も動物も、愛を込めれば応えてくれるから」     
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