2.我が上の星は見えぬ

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ん? ちょっと待って、今何て言った…? “ヒジカタ君”って言わなかった? 少し前に“コンドウさん”っても言ったような… そうか! あの水色の羽織、見覚えがあると思ったら。 嫌な予感… 違う! だって、そんなファンタジーなこと起きるはずがない! 心の中で言い聞かせる。 まさかね… 絶対、ぜぇっっったい! そんなわけない。 「とにかく布団に戻れ!もう暫く休んでろ。山南さん、頼む」 「はいはい」 あたしを侍紳士に預けると、“ヒジカタ”さんはその場を後にした。 どうなってんの?! 何が何だか…理解不能! むしろここは日本なのか? 「君は一体誰だい?」 その一言にはっとし、現実に引き戻される。 “ヒジカタ”さんとは対照的。 温和で親切そうな人柄が内面から滲み出ている。 「わたし、あの方に助けていただいて…」 動揺のせいで、質問を無視した答えを口走った。 っていうか、あなたこそ誰?
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