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「笑顔のかいらしい、人懐っこい子やった。そや、そないなとこは似てる気ぃすんな」
「もうひとり娘がでけて、うちはほんまに嬉しいんよ。なぁ、あんたもそやないんか?」
「そやな、花嫁姿はいつか見られるかもしれん。それまでここにおってくれるか?」
「いいんですか…?」
「当たり前や。男には気ぃつけや。可愛い娘傷もんにしたらしばいたる」
おじさん、おばさん…
そんなこと言われたら涙が止まらなくなっちゃう。
「お世話になります…」
「明日から花嫁修行でもしよか。泣いてる暇はあらしまへん!ビシビシ鍛えんで。覚悟しぃや」
「よろしくお願いします」
廊下では、心配の面持ちでみんなが待っていてくれた。
「そんなに泣いて…」
「左之助兄ちゃ…」
「よし!」
真っ先に飛び込んだ。
みんなが見守る中、左之助兄ちゃんの胸の中で大泣き。
「俺の胸で思いっきり泣け!」
自分がよく分からない。
気持ちを抑えられなくて、大泣きするほど好きだなんて。
こんなに人を好きになったのは初めてかもしれない。
心が通わなくても、潔く諦められるかな?
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