17.花在りて天香夜

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「ああ。こういう場合、何かと女のほうがいい。お前も一緒に来い」 「はい。あの、局長」 「うん?」 「もしかして、わたしに会わせたかった人って深雪太夫ですか?」 「そうなんだ。時折見せる物憂げな表情が気になってね。君に会えば気分も晴れるんじゃないかと思ったんだ」 そして、その夜。 事情を知る土方さんと源さんと一緒に、局長のお供で新町へ向かった。 「失礼致します。深雪でございます」 「ああ…」 「ようお越しやした。毎夜お逢いできて、深雪は嬉しゅうございます」 心配の色を隠せない。 暗黙の了解で、誰も余計ことは言わない。 訴えるように太夫を目で追いかけると、彼女もこちらを見ていた。 内緒にしてと、何も言わないでと、目が訴えている。 「近藤先生…」 局長の隣へ行こうとしたとき、ふらっとよろめいた。 「深雪太夫!」 「申し訳ございません…つまづいてしもて…」 「大丈夫かい?」 「へぇ…」 慌てて支えた局長の腕に抱き抱えられる。 見つめ合う。 心配と動揺とときめきと。 ふたりの感情が交錯する。 不謹慎かもしれないけど、目の前で繰り広げられる大人のロマンスに視線が釘付けになった。 これはたぶん、いや確実に。 ふたりとも恋に落ちている。 「今日は舞はいい…。君と話がしたいんだ」 沈黙が流れる。     
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