19.風待月の一夜

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はぐらかされるかな。 ここで一緒に生活しているからといって、今日は何があるとか、何のために出動するのかなんて教えてはくれない。 極秘で動くこともあるみたいだし。 「山南さんは出動しないんですか?」 「私は今日は留守を預った。手薄になった陣を狙う可能性も考えられる。屯所を守るのも大切な仕事だからね」 「そうですね。屯所がカラじゃ、一溜まりもないですもんね」 新選組も組織だ。 万が一、情報が漏れれば責任は大きい。 ひとつのミスが深刻な事態になることだって。 そうなれば取り返しがつかない。 分かってる。 口出しすべきじゃない。 知ってどうなるわけでもない。 そんなの十分すぎるくらい分かってる。 でも、今日のこの一件はどうしても知りたいの。 「あの…」 「うん?」 「山南さん、どういうことですか?」 「どうしたんだい?」 「今日の雰囲気ただごとじゃない。沖田さんまであんな深刻な顔して…」 「不安にさせてしまったようだね」 「いえ…」 「しかし、心配は無用だよ」 「ここ数日、監察方の動きも盛んな気がします。今朝も早くから幹部会議を重ねて、忙しそうに動いてるようだし…」 「君が気にすることではないよ」 「でも、町で聞きました!長州が町に火をつけるって噂…」     
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