22.お嬢様に恋の罠

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「京に来たのは久しかぶいやったで、わっぜ困っちょっとよ。教えてたもんせ」 わっぜ…? とにかく道に迷って困っているようだ。 「そうでしたか。よければ一緒に参りましょうか?」 「おはん、用があるんじゃなかか?」 「少しくらい平気です。約束より早めに来ましたから」 「あいがとさげもす!」 「さげもす…?」 ハテナが浮かぶ。 「ああ、ありがとうっちゅう意味でごわす」 「あー!いえいえ」 足元を見ると、わらじで足に擦り傷ができて、痛々しい。 「あの!少しだけお待ちいただけますか?」 宝蔵寺の山門を箒で掃いていた小坊主さんに事情を話して、桶に水を貰ってきた。 「すみません、お怪我しているようなので、見せていただけますか?」 「んにゃ、こげなもん平気じゃ。大したことなか」 「でも、化膿したらいけないので。このままでは歩くのも痛いと思います」 「じゃっどん…」 「失礼いたしますね」   
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