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「京に来たのは久しかぶいやったで、わっぜ困っちょっとよ。教えてたもんせ」
わっぜ…?
とにかく道に迷って困っているようだ。
「そうでしたか。よければ一緒に参りましょうか?」
「おはん、用があるんじゃなかか?」
「少しくらい平気です。約束より早めに来ましたから」
「あいがとさげもす!」
「さげもす…?」
ハテナが浮かぶ。
「ああ、ありがとうっちゅう意味でごわす」
「あー!いえいえ」
足元を見ると、わらじで足に擦り傷ができて、痛々しい。
「あの!少しだけお待ちいただけますか?」
宝蔵寺の山門を箒で掃いていた小坊主さんに事情を話して、桶に水を貰ってきた。
「すみません、お怪我しているようなので、見せていただけますか?」
「んにゃ、こげなもん平気じゃ。大したことなか」
「でも、化膿したらいけないので。このままでは歩くのも痛いと思います」
「じゃっどん…」
「失礼いたしますね」
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