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「すいません、原田さん。ここ、拭いても…」
「いいから、いいから」
ニカッと笑って再びゴロゴロ。
これが大切な日課らしい。
いいな、暢気で羨ましいよ。
仕方なしに、寝そべる彼を避けてその周りを拭いてゆく。
「原田さんは…」
「何て他人行儀な。左之助って呼べよ」
「できません!さすがに呼び捨ては…」
いきなり飛び起きて、名前の呼び方の提案。
「じゃあ“左之助さん”でどうだ?呼んでみろ」
「左之助さん…」
「んー何か違うな…ほんじゃ、“左之様”!」
「左之様?」
別に呼び方なんて何でもよくない?
「…そうだ!俺を兄と慕い“左之助兄ちゃん”と呼べ!」
「左之助兄ちゃん…?」
「うん、いいな!それでいこう!」
左之助兄ちゃん…は鼻歌を歌いながら、三度ゴロンと横になった。
訂正。
このほうがわたしにとってもいいのかも。
もっと仲良くなれそうで。
最初の読みどおり、この人、左之助兄ちゃんとはうまくやっていけそうだわ。
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