星降る夜に、君を抱き締めたい。

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放課後、私は聖と二人きりで教室で勉強タイム。と、なるはずだったが……。 「……カリンちゃん、帰らないの?」 「うん。私も吉沢さんに、勉強を教わろうかなって」 「ええ!?カリンちゃんが勉強?」 勉強が大嫌いなカリンちゃんが数学の難問にチャレンジするなんて、晴天なのにゲリラ豪雨になりそうだ。 「なによ、勉強出来ないくせにって思ってるんでしょう。失礼ね」 「そ、そんなこと……」 「ていうか、カリン。お前に勉強はムリムリ。俺と一緒に帰ろうぜ」 なぜか、この場に居座っている陽。 陽だって、勉強嫌いなくせに。 難問を解いて楽しいと思えるのは、このクラスには私と聖くらいしかいない。 「やだよ。陽と一緒に帰ったら、女子に睨まれるもん」 「つーか、関係ねぇだろ。お前こそ、彼氏を作らねぇから、男子が金魚の糞みたいに纏わり付くんだよ。誰か一人に早く決めろよ」 「ダーメ。私はアナウンサーになるのよ。彼氏を作ると将来それがスキャンダルのネタになるでしょう。それに、京都で彼氏を作っても、東京に行ったら別れないといけないし」 「アナウンサーなんて、夢の夢だろ。夢は寝て見ろっつーの」 「夢じゃないよ。アナウンサーになって、スポーツ選手と結婚するんだから」 陽は口をアングリ開けたまま固まってる。まるで石像みたいだ。
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