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「まったく、煩いったらないな。集中できないよ」
聖が私を見て笑った。
「ホントだね。でも……素敵だね。カリンちゃんの夢がアナウンサーだなんて、びっくりだな」
「だよな。吉沢の夢も必ず叶うよ。吉沢は優しいし、きっといい助産婦になれる」
「そうかな?赤ちゃん大好きなんだけど、それだけでなれるかな……」
「夢は掴むためにあるんだ。努力しないで叶うわけがない。だから俺はこれからも努力を惜しまない」
「……うん、聖の夢、えっと……私でよければ、その……応援するから」
「では吉沢先生、この問題解いてみてよ」
「任せて。一瞬で解いてみせる」
「頼もしいな」
私達は視線を重ねて笑った。
幸せな時間。
聖と一緒にいられる僅かな時間を、大切にしたかったから。
楽しかった想い出があれば、私はここで頑張れる。
また逢いたいなんて、そんな贅沢は言わない。
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