星降る夜に、君を抱き締めたい。

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「吉沢は来てくれないと思ってた……」 あんな手紙をもらったら、来るに決まってる。 「吉沢はもしかしたら、陽のことが好きなのかなって思ってたし。陽はカッコイイし、俺なんか相手にされてないと思ってたんだ」 なに言ってるの? 私が好きなのは聖だけだよ。 「俺、女子に告白するの初めてだし、口下手だから。面と向かうと恥ずかしくて言えないから、自分の気持ちを綴った」 「誰の気持ちかわかんないよ」 「……えっ?」 「『牧瀬』だけだと、どっちかわかんないよ」 「俺?名前書いてなかった?」 「宛名もないし、誰に宛たものかもわかんないよ」 「ちゃんと吉沢の机に入れたよ」 「全部中途半端でわかんないよ。あんな問題解けないよ」 「……吉沢?」 涙が溢れ、頬を伝う。 ――あの手紙を読んで、聖からだとかわると思ったの? 国立大学の入試問題より難しいんだから。
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