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封筒を手に取り、じっと見つめる。
ラブレター?まさかね。
封筒には宛名もない。
私みたいな地味子に、ラブレターなんて無縁だ。高校に入学し、三年間で一度も告白されたことはない。
何故なら、私の容姿はどちらかといえば童顔で幼児体型。近視で赤いフレームの眼鏡は必須アイテム。いまだに散髪は母が担当し、おかっぱ頭。クラスでも一番背が低く地味子。
これは……もしかして、不幸の手紙?
きっとそうに違いない。
白い封筒を開けると、中には一枚の便箋が入っていた。私は便箋を取り出し開く。
カードの文字に視線を落とす。
トクンと鼓動が飛び跳ねた。
【星降る夜に、君を抱き締めたい。
三月一日午後九時、星見公園で待ってる。
このことは、誰にも言わないで。
二人だけの秘密だよ。 牧瀬 】
「えっ……!?だ、だ、だ、抱き締めたい!?何これ?牧瀬?牧瀬しか書いてないよ。どっちの牧瀬なのよ?」
私のクラスには、双子の牧瀬がいる。
出身中学校も同じで、高校も三年間同じクラスだった。
牧瀬陽は双子の兄で、スポーツ万能、学校で一番モテる。弟、牧瀬聖はクラス委員で優等生。
一卵性双生児の二人は顔も体型もそっくりで、髪型まで同じ。長身でかなりのイケメンだが、聖は私と同類で眼鏡が必須アイテムだ。
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